天使の行進

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天使の行進

 よく晴れた日の昼間、いつものように孤児院で入り用のものを商店街に買いに出かけた。  その道中、大通りに人垣ができているのが目に入った。こんなに人が集まるなんて何があるのだろうと、人ごみを掻き分けて前の方を覗き込むと、突然ざわめいていた周りの人々が静かになった。  黙って人々が視線を送る方を見ると、黒服の男を数人連れた修道士様が、大きな荷物を持って歩いてきた。真っ白な服を着た修道士様は天使のようにきれいで、通り過ぎるまで目を離せなかった。  彼らの姿が見えなくなった後、誰かが言った。  あの修道士様は魔女を焼きにいくのだ。  それを聞いて悪寒がして、足早にそこを去る。  僕もいつか焼かれるのではないかと、不安になった。
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