お母さんは冷たい

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お母さんは冷たい

「夏樹!早く起きなさい!」 「やだぁ~まだ眠たい~」 「学校遅刻するよ!」 「ん~ん~もうちょっとぉ~」 「もう!そんなこと言う子にはコレよ!」 そう言ってお母さんはお布団をひっぺがすと、僕をぎゅっと抱きしめた。 「ひやあああ!!やめてよ!冷たい!」 「夏樹が起きないからでしょ!」 お母さんの体温はおそらく冷凍庫のアイスと同じくらい。 何℃ なのかわからないけど、きっとそう。 だから、そんな体で抱きしめられたら一気に目が覚めてしまうんだ。 「ほら、さっさとご飯食べちゃいなさい」 「ふわぁ~い・・・」 僕は目をこすりながらリビングへ下りた。 キッチンから朝ごはんの良い匂いがする。 「おはよー夏樹」 「あ、お父さん、おはよう」 テレビを見ながらお父さんがコーヒーを飲んでる。 もう食べ終わったみたい。 食卓には僕の分の味噌汁とごはん。 それと、しょっぱい玉子焼きが並んでた。 うーん、すっごく美味しそう! ───── なんだけど お母さんが作るご飯はとにかく冷たい。 「ひゃあ~冷たー。僕あったかいのがいい~」 「仕方ないでしょ、作ってると冷えていくんだもの」 「そうだぞ夏樹、文句言わないで食べなさい」 もお!お父さんはお母さんの味方ばっかりする! 僕はぷーとほっぺを膨らませて冷たい玉子焼きを口に入れた。 もぐもぐもぐ・・・ しょっぱい玉子焼きは僕の大好物。 うん、冷たくても美味しい!
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