0人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
そんなこんなで変わらない日々が続いていき、妻との関係も変わらず過ぎていった。
ああ、会社でのお痛は反省して、もうやっちゃいない。
酒も、体を壊すほど飲んじゃいないぜ?
ただ…
最近、妻の帰りが以前より遅い気がする。
フルタイムで働いている俺よりも遅いのだ。
ある日、ゴールデンタイムのバラエティ番組を観ながら俺が寛いでいると、玄関のドアがガチャリ、と開く音。妻だ。
勿論「ただいま」の声も無い。
ちぇー。
2杯目のドッグス・ノーズを楽しんで、おおらかになっていた俺は、
「俺が悪かったよ。本当にゴメン。仲直りしてくれない?頼むよ」
などと声を掛けるつもりで迎えに出た。
妻の姿は無い。
どうやら真っ直ぐに浴室に向かったらしい。
少し鋭敏になった俺の鼻が何かを嗅ぎつけた。
麻薬捜査犬は3日前にこぼした薬物の痕跡を嗅ぎ分けると云う。
俺は廊下を通った妻の残り香を嗅ぎ分けた。
いや、それがその、その匂いなんだが、なんというか…
最初のコメントを投稿しよう!