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プレゼント
甘いあまいココアの味など、跡形も無く消えるほどの長いキスの後、和は聡の体を放して、服を脱ぎ始めた。
緩めていたネクタイを完全に解いて抜き取り、ワイシャツのボタンを外していく。
グレーのアンダーウェアも取り去って、スラックスのベルトのバックルに手を掛けた。
その迷いが全くない手付きに、聡はキスでボンヤリとしたままで見惚れる。
やがて、我に返った。
「出てくる前に風呂、入ってきたからいいよね?――何してんの?」
慌てて、自分も服を脱ぎ出そうとした聡に、和は言い放つ。
「何って、おれも――」
脱ぐから。と聡は最後まで言うことが出来なかった。
和にきっぱりと宣言された。
「センセイはダメ。おれが脱がせるから」
「え?そこまでしなくてもいいよ。自分で脱げる」
着ていた薄手のセーターの裾に掛けた聡の手を、和が鷲掴みにする。
「あのさ」
と、和はそこで一度、言葉を切った。
そして、聡にそれ以上は言わせない素早さで続ける。
「センセイは今日、プレゼントなんだから。――おれの言うこと、きいてよ」
ね?と、ダメ押しのキスひとつで、和は聡が反論するのを封じた。
今日が誕生日の、確信犯が命令する。
「両腕上げて」
「・・・・・・」
聡は無言で、文字通り『お手上げ』をした。
ウール100%ではないとはいえ、Vネックのセーターを脱がされた聡がゾクリとしたのは、静電気のせいではないだろう。
――多分。
その下の、コットンシャツのボタンを上から順番に、和が外していく。
もっと勢いよく、言葉はアレだが乱暴にされるかと思っていた聡は正直、意外に思った。
「センセイ――」
「な、何だ?」
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