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終わりなど有り得ないようなキスを止めた唇で、和が叫ぶ。
「センセイっっ!もうヤバいって!出ちゃうっ!――イッちゃうよっっ!」
しかし、聡はそれを全く無視して追い上げた。
扱くというよりは、ほとんど搾り上げるような、容赦のない手指の動きだった。
「・・・っっ‼」
和の小さな悲鳴を直に左耳に聞くのと、両の手のひらに温かいモノが叩き付けられるのとは、ほぼ同時に聡には感じられた。
ほんの一瞬だけ遅れて、全身から力が抜けた。
続いて、汗がドッと噴き出してくるのが分かった。
「センセイ――」
「・・・・・・」
和に応えようとしたが果たせずに、聡の唇は半ば開いていた。
和は荒い息のままで、そこへと口付けを落とした。
さっきからあんなにしていたというのに、まだまだ足りないとでもいうのだろうか?
和の唇は、ひどくゆっくりと退いていった――。
聡の下唇をついでとばかりに舐めてから、和は自分の頭上へと手を伸ばす。
ベッドヘッドに在ったボックスティッシュから、二、三枚をまとめてつかみ取った。
それを聡へと手渡す和の顔は、はにかんでいた。
「いっぱい出しちゃった。昨日はガマンしたから、溜まってたかも。センセイ、手拭いて」
「え?あ、あぁ――、ありがとう」
ボンヤリとしつつも律義に礼を言い、聡はそれを受け取る。
手を指を拭う聡の下肢へと、和は音もなく視線を滑らせた――。
「センセイは、いいの?」
「え?」
和は本心から、聡を聡の体を心配しているようだった。
問う声に、それ以外の響きは全くない。
「おれ、それどころじゃなくなって――。あれ?もしかして・・・」
その後に続く和の言葉が何となくだが分かった聡は、反射的に和から体を離そうとした。
しかし、シングルベッドの狭さと和の素早い腕の動きとに、あえなく阻まれる。
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