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照りつける太陽の下で、空気がゆらゆら揺れている。 ただでさえ暑いのに、向かう先の路面に銀色の水たまりが見えてしまったら、いよいよげんなりする。 近づいても、水銀みたいにつるりと遠くへ逃げる水たまり。 広場の隅にある気温計を見やって、おれは思わず顔をしかめた。 「気温 35.8℃」 嘘だろう。 いつもみたいに引かない人いきれ、車の波、街の空気。 だけど今日は、 「……?」 やけに静かな気がした。
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