宿敵

　学校に着いてからも試練は続いていた。靴を履き替えるのも一苦労で、立ったままでは難しいので一度座る必要があった。以前は簡単にこなしていた動作の一つ一つが、今の私にはとてつもなく時間のかかる作業になってしまった。
　トイレも悩みの種だ。洋式便器の個室が空いていないときは我慢するしかなかった。和式便器ではとても用を足せなかった。
　そして一番苦労するのが階段だった。一段一段慎重に昇り降りする必要があった。少しでも躓けば転げ落ちてしまう危険があった。こんなとき、荷物を持ってくれる友達がいたらどんなに心強いか、下から支えてくれる友達がいればどれだけ楽になるか、いつもそればかり考えていた。
　だが私にはそんな友達はいなかった。あいつには沢山いるのだろうなと、また妬みが込み上げてきた。
　あいつも私と同じ境遇のはずなのに、私とは対照的にこの状況を楽しんでいるようだった。その姿が気に食わなかった。