タナトス2~寝物語~

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 柘植 渚(つげなぎさ)は大きく息を吸うと、ゆっくり吐き出しながら両腕をふうわりと広げた。  薄紅色の花が、宙に浮かび出す。  彼の能力によって生み出された大輪の花々は静かに解きほぐれ、無数のサインにその花びらを振り散らせた。  花びらが霧散して消えてしまう頃には、部屋は鎮まっていた。  長期間効くわけではないが、これでしばらくは彼らもおとなしいはず。  ほぅ、と息をついた渚の背後から、ぱちぱちと拍手が聞こえてきた。
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