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1.【七不思議編 人体模型のお侍さん】
時は過ぎて現在。
月緋(つきあか)ルナには生まれつき少し不思議な力を持っていた。
不思議な力といっても超能力だとか魔法が使えるとかそんな大したものではない。少し先の未来が見える。夢の中で。世にいう予知夢というやつだ。
例えば今。彼女はぐっすり夢の中であるが、彼女を起こしに来た執事がなかなか起きない彼女にキスして起こそうとする。という予知をみている。
これは最悪だな...。私にキスするなど...
「何万年もはやいわぁぁあ!!!!」
右ストレートをきっと、私の顔の目の前にあるであろう者の頬に決め込む。
ドゴォォォという爆発音に似た音がした。
吹っ飛んだなこれは。
そう思っているとパラパラと壁が崩れる音が聞こえ、ルナは眠い目を擦りながら立ち上がる。
「ふぁ...あ。朝から何をしようとしたのかなぁ?峰岸くぅん」
あくびをしながら瓦礫(がれき)の下敷きになっている彼女の執事、峰岸龍吾の前に仁王立ちして訊ねた。
「起きてらっしゃるのならもっと早く起きてほしいものですね、姫。とんだ怪力娘だ。壁の修理費が毎度高くていい迷惑しているんですが」
「質問に答えてくれません?」
瓦礫から抜け出すと服に付いた埃を払う。
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