人ごみ

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 矢印に沿って進んでいくと、やがて行き止まりになった。  だが、矢印はさらに奥を示している。  どうしたらいいかと迷っていると、突き当たりの壁が急に動きだし、扉のように左右に開いた。  その先は、暗闇に包まれている。 「当選者の皆さま、ようこそ。どうぞ、中へお進みください」  無機質な抑揚のないアナウンスが入り、俺たちは中へと入っていった。  最後の一人が入ると、また壁が動き、来た道を閉ざしてしまった。  完全な暗闇が支配し、パニックになった人達がわめき出す。  すると、またアナウンスが流れた。 「当選者の皆さま、お待たせいたしました。これより、『人ゴミ』を処分いたします」  スッと体が軽くなった。  いや、今まで立っていた場所の床が抜けたのだ。  俺たちは、叫び声を上げながら落ちていく。  果てのない奈落の底に……。
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