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その時、彼の顔から笑顔が消えた。そして彼は私を見つめている。
「えっと……告白するよ。実は、あの時、君の近くに居たのは偶然じゃ無いんだ……」
それは思い掛けない言葉だった。
「えっ? それはどう言う意味ですか?」
彼は一瞬、困惑した表情を浮かべたが、意を決した様にこう言った。
「電車の中で見つけた君に一目惚れしていて、毎日同じ電車に乗って君を見ていたんだ。だからあの痴漢に気づいた……」
最初、私は彼のその言葉が何を意味するのかをハッキリと理解出来なかった。でも少しずつ、その意図を理解すると、心臓の鼓動が一気に高まった。
「えっ……? 一目惚れっておっしゃいました……?」
私は多分耳まで真っ赤になっていただろう。彼の顔を見ることが出来なかった。
「あっ、ごめんね。突然、そんなこと言われるとびっくりだよね。ごめん、今、言ったことは忘れて……」
私は大きく首を振った。
「ありがとうございます。私も木本さんのことを気になってました……」
大翔が私を見つめている。
「えっ? それって……」
「最初から恋人は無理ですが……、お友達からお付き合いしませんか?」
これは年齢イコール彼氏いない歴の私にとっては本当に大胆な言葉だった。でもこの言葉を言えたことが、私と大翔の関係を大きく前に進めることになる。
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