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私達はその後、正式にお付き合いをすることになった。
私にとって初めての恋人が出来たんだ。
大翔は同い歳で私のストライクゾーンの美男子。そして帝国大学を卒業して日本一の自動車メーカに勤めている秀才だ。
それだけでも私にはもったいない逸材の彼だったが、彼の繊細な振る舞い、そして優しさ。私はもう完全に彼の虜になっていた。
私達の付き合いはもう一年を超えていて、大翔は何度か私の家にも遊びに来ていて、母も彼をとても気に入ってくれた。
そして私は彼との将来を意識する様になっていた。
その日の朝、いつもの様に母と朝食を食べていると母が私に聞いて来た。
「澪、大翔君とは結婚するつもり?」
私は少しだけ首を傾げた。
「うーん、私はそのつもりだけど……。彼はどうだろう……? それにお母さんの経験を踏まえると、あまり性急に決めるのは良くない……?」
母は二度の結婚に失敗していたから、結婚に慎重な意見を持っているかもしれないなと私は考えていた。
母が大きく首を振った。そして満面の笑顔を浮かべる。
「そんなことないわ。澪、これは貴女の人生だから自分で決めなさい。それが一番幸せの筈よ……」
その母の言葉に私はとても嬉しかった。
「うん、お母さん。ありがとう」
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