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その日、大翔は母の振る舞った夕食を美味しそうに食べてくれた。そして私は大翔を最寄りの駅まで送った。
「良かった。お母さんに結婚の承諾を貰えて」
少しお酒が入って顔を赤らめている大翔が歩きながらそう言った。
私は大翔の横で大きく頷いていた。
「次は僕の両親だね。どうする? やっぱり無理そうかな……」
大翔の実家は沖縄県にある為、飛行機に乗らないとご両親に会いに行けない。でも実は私は小さい頃から飛行機恐怖症で飛行機に一度も乗ったことが無かった。
「うーん、ちょっと自信無いかな……」
私がそう呟くと、大翔は頷いて、何かを考えている。
「分かった、両親と話してみる。また相談しよう」
私は少しだけ不安だった。挨拶にも来れない婚約者を大翔の両親は認めてくれるのだろうか? それに私は母娘家庭だ……。
私が不安な表情を見せると、大翔はそれに気付いて私をギューっと抱きしめてくれた。
「大丈夫、きっと上手くいくから……」
私は彼の腕の中でコクリと頷いていた。
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