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私と大翔は次の土曜日、渋谷のカフェで逢うことになった。
私はデパートに行き、お礼の品としてハンカチを買って、目的のカフェを訪れていた。
多くの席はカップルで埋まっていたが、私は彼の名前で予約されていた窓側の席に案内された。左手の腕時計を見ると待ち合わせの十五分前だった。
直ぐに大翔がお店のドアを開けて現れたのが見える。彼は店員さんに話しかけて、こちらを指差されると私を見つけて手を振った。そして笑顔を見せてこちらに向かって来た。
私は席から立ち上がると大きく頭を下げた。
「木本さん、今日はお時間を頂いてありがとうございます」
彼はうんと大きく頷いた。そして私の前の席に腰を降ろす。
「高橋さん、座って。そんな堅苦しくしなくていいから」
私はコクリと頷くと腰掛けた。
「何にする。女の子にはケーキもお勧めかな。ここのケーキはとても美味しいんだ」
そう屈託無く話す彼はキラキラしていて、私は自分の一目惚れを確信していた。
「あのその前に……。これ受け取って下さい。この前のお礼です」
私は包装されたハンカチの箱を彼に差し出した。
「えっ? こんなのいいのに。でもせっかくだから貰っておくね。ありがとう」
彼がハンカチを受け取り、再び私に笑顔を向けてくれた。
「本当にありがとうございました。偶然居合わせた木本さんに……、助けて頂いて、とても感謝しています」
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