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プロローグ
私はゆっくりと目を開けた。でも未だ目が翳んでよく見えない。暫くすると少しずつ視界がハッキリとして来た。その時、私は森の中に仰向けに倒れていた。私が見上げる空にはたくさんの木々が茂っており、葉っぱの間から木漏れ日が見える。
周りはとても静かで、聞こえるのは風が木々を揺らす音だけだ。
私は突然、誰かに抱きしめられているのに気付いた。その人の身体はとても冷たく感じる。この人は……とても大切な人……。誰だろう……?
突然、森の静粛を破ってバリバリという物凄い騒音と激しい風を私は感じた。直ぐに複数の人達の足音と声が聴こえて来た。
「あそこに二人居るぞ! 機体の一部はこんな所まで滑り落ちたんだ!」
誰かが私達に駆け寄って来た。そして私達の身体を触っている。
「おい女の子はまだ息がある! 男性が女の子を護ったんだ!」
突然、知らない大人の人が私を覗き込んだ。
「もう大丈夫だからね……」
その人は私を持ち上げ様としている……。
私は叫んでいた。
「ダメ! ……離しちゃ嫌だ!」
私を抱き上げようとしたその男性は優しい眼差しを私に向けた。
「大丈夫、一緒に連れて行くから安心して」
私は大きく頷いていた……。
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