朝の忍者

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なぜ僕が彼女を忍者さんと呼ぶかというと、「動きが忍者みたいに素早いから」この一言に尽きる。 屋根の上を素早く走る忍者を想像してみてほしい。彼女はまさにそういう動きをしている。 電車から降りて上りエスカレーターに乗ってから改札に向かうまで、「サササササッ」って効果音がするくらい無駄のない動きで一切他人にぶつかることなく素早く歩くのだ。 初めてそれを見た時は「え、何あれ」なんて声が出た。 しかし今は違う。人ごみに揉まれやすい僕は彼女の動きに感動し、何度も真似したが中々上手くいかなかった。(僕が鈍臭いっていうのもあるんだろうが) それ故に僕は彼女に敬意の気持ちを込めて「忍者さん」と陰ながら呼んでいる。
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