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“ドアが開きます。ご注意ください”
プシュウ、と空気の抜けるような音と同時にドアが開く。
忍者さんが電車から降りた。毎朝見るあの素早い動きで。
相変わらず速いな、と感心していると忍者さんの立っていた所になにか落ちていることに気づいた。
キーホルダーだ。しかも不細工なうさぎの、さっき僕がユウジから押し付けられたものと同じ、いや、一回り小さい気がする。
そういえば忍者さん、パスケースと一緒に何か付けていた気がする。
いつも人ごみでバッグの細かいところまでは見えなかったけど白い何か────
気がつけば僕はそれを拾って電車から飛び出した。
向かう先はただひとつ。
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