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朝の忍者
朝7時の電車はいつもすしずめ状態で、一駅着く度にたくさんの人が電車に乗り込んで来る。
乗り継ぎやオフィス街の多い駅に着くとエスカレーターや階段に近い号車に乗ろうという気持ちは、皆同じなんだろう。かくいう僕もそうだ。
憂鬱になるような満員電車でも、僕にはひとつだけ、密かな楽しみがある。
僕の最寄りの一駅後に乗ってくるポニーテールの女の人。名前も知らないし、喋ったこともない。僕が彼女に恋をしているのかといったらそういうわけでもない。
一つ言うなら、僕はその人を心の中で「忍者さん」と呼んでいる。
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