バンド&ベーコン(中学一年生、春)

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 点加は夏休みのバンド練習に一度も顔を出さなかった。しかしやめるつもりは全然なく、ただ気を引きたかっただけだった。美鈴あたりが、練習においでよ、と言ってくれるだろうと思ったのだ。しかし誰もそんなことは言ってくれなかった。点加はそれで、すっかり顔を出すタイミングをなくしてしまった。    夏休みの終わりに、点加はバンドをやめる決意を青山さんに送った。誰も引き止めようとはしなかった。    点加は彼女らを憎んだ。彼女らはなんと心の汚れた人々なんだろうか?きっとやめてほしいと思っていたのだ。下手くそな、いらない、不真面目な人間だから。なんと非情な、冷たい人間たちなんだろうか!お望みどおりに消えてやる。  私には、もっと別の戦い方があるのだ…
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