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点加は無我夢中で小説を書いた。書き上がったら、とにかく誰でも良いから読んでもらうつもりであった。そしてその誰でも良いはずの誰かが、ベーコンズの演奏よりも点加の小説に胸を踊らせてくれることを願った。
*
「オレ…お前のことが、好きだよ」
「…!」
夢子は粉雪の中で泣いていた。ずっと、ずっと夢見てきた言葉。ずっと聞きたかった言葉。
「あた…あたしもッ!」
高山は両手を広げて、夢子を包み込んだ。
「もう、なにも言わなくていいよ。」
朝日が昇り、抱きしめ合う二人のシルエットを映し出す…
*
とうとう小説は書き上がった。点加はその出来栄えに惚れ惚れした。それは恥ずかしいほど美しく、汚れを知らぬ、中学生らしい、まっすぐな恋愛小説だった!点加はそれを明日、誰かに読んでもらうことに決めた。
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