ポルノ&マングース(中学二年生、秋)

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 その後、いじめはおさまったかに見えた。しかしそれはあくまで表面的なものだった。水面下では当然のように、陰湿さを増したいじめが続いていた。    みどりは点加に対して以前より一層あからさまな、遠慮のない打擲を加えるようになっていた。不機嫌そうな顔で点加をにらみ、目の下には常に青いクマが浮き上がっていた。点加はそういう日々のやり取りの中で、みどりの苛立ちが自分にも伝染していくのを感じた。しかしそれは伝染したわけではなく、もともと点加の中にある苛立ちが引き出されただけかもしれなかった。点加は近頃、母親と激しくぶつかり合うことが多かった。子供扱いや、口うるさい注意に耐えきれず、爆発してしまうのだった。すると母親はそれに対してさらに激昂した。点加はなぜわかってくれないのかと苛立った。家の中は殺伐としていた。  点加はわからなかった…なぜこんなにムカつくのか?そもそも何にムカついているのか?何にムカついているのかと問われれば、目に入るもの全てにムカついているのだ。しかし学校へ来て、自分より苛立っているみどりを見ると、点加は不思議と少しだけ、安心することができるのだった。
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