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車のトランクから手土産と荷物を降ろして、先に家の玄関へ歩いていく美咲に続く。
「こういう時って実家でもピンポン押すのかな?」
突然玄関の前でくるりと振り返った美咲がそう言った。
「ごめん、よくわかんない……けど、押すの?」
二人でそう話しているうちに玄関が開いた。
「何してんの?
入りなさい。」
車の音を聞いて出てきたのは美咲の母だった。
「あら、こんにちは。
美咲の母です。」
「篠田正樹です。」
そう言ってお辞儀の手本のような綺麗なお辞儀をした。
「こんなところじゃ何ですから……汚い所ですけど上がってください。」
美咲の家は父親が建てた築20年の木造家屋。
場所が田舎だけに、建物と同じくらいの広さの庭と車3代分の駐車場がある。
玄関の上がり框を上がるとまっすぐ続く廊下の右側に2階へと続く、足を乗せる板と手すりだけの、下が透けて見える階段と、その先の行き止まりに和室がある。
雲にかけた階段の様に、下ががら空きの階段を挟んで両隣も和室が広がっている。
二人は階段側とは反対の和室に案内された。
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