第2手記ーー「これが寮?」

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第2手記ーー「これが寮?」

 自由席なので、一番奥にチンリツと座った。  「(日本語訳)別にあいつが言わなくても、俺だってわかる。」  「(日本語訳)いや、そこまで気にしないで。大したことでもないし。」  「(日本語訳)なんか、気に食わない感じするんだよな。」  「(日本語訳)えっ、どうして?」  「(日本語訳)俺が言いたかったことを先に言われちゃったからさ。」  「(日本語訳)もういいよ〜」  その納得の行かない顔には全てが描いてある。気が短いやつというか、嫉妬に狂うというか、その本質的には確実の見栄っ張りだ。しかし、クラスメートとして、三年間も一緒に歩んできたし、離れて行って、見捨てるわけにはいかないし、耐えるしかないか。  と思っているうちに、さっき交渉された、そのメガネをかけた女性が運転中にも関わらず、突然、立ち上がって、通り道の真っ先にあるバスのガードレールに凭れて、マイクを持ちながら、みんなに向いて話す。  「(日本語訳)みなさん、こんにちは〜」  「(日本語訳)こんにちは〜」  と中国語はバスの中には満ちるが、その女性はさらに話す。  「みなさん、初めまして、自己紹介をします。リュウと言います。私はICA国際会話学院の先生です。今回は出迎えを担当しました。宜しくお願いします。今からは、まず寮に行きます。その間では、日本語で自己紹介をしましょう。では、まずあなたから。」  今度は日本語だった。だいたいはわかったが、聞き間違えかどうかを確認したくて、チンリツに聞く。  「(日本語訳)自己紹介?」  「(日本語訳)うん。」  聞いている間では、すでに何人かが自己紹介をしていた。何かを話さないとと思いながら、日本語でどういうべきかを思い出そうとする。  「私の名前はチョテイヒと言います。趣味はゲーム、日本語です。日本が大好きなので、今回は日本に来てよかったと思います。どうぞ、宜しくお願いします。」  チョテイヒがするすると自己紹介を終えて、さらに辞儀までもした。こいつの自己紹介はうまいなと思って、どれだけの時間をかけたら、そのようになるのだろう。  「はい。宜しくお願いします。次の人。」  「私は・・・」  「はい。宜しくお願いします。次の人。」  「・・・」
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