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翌日になり…寝殿隣の客間からの物音で目が覚める。広い布団には蜜の姿がなく、俺は近くに脱ぎ捨ててあった下衣を上から羽織り客間に向かうと
『…仟之助様、おはようございます』
ほんのりと顔を赤らめながら
朝食の用意を施す蜜の姿があった。
台の上にはいくつもの皿や小鉢が用意されていて、近くには小鍋が何種かあり…蜜が菜箸や匙を取りに立ち上がった。
俺は微笑しながら蜜を引き寄せ
『おはよう』
細い身体を抱き締める。そのまま耳朶から首、首筋に口付け甘く噛んだ。蜜が更に顔を赤くしながら
『あ、の…仟之助様』
『ん?』
『その…朝食のご用意が』
悩ましげに瞳を揺らし、小刻みに身体を震わせて。そういう所が〃俺を煽る〃という事をきっと蜜は知らない…。
俺はクスッと笑い
『先にこちらを頂く』
甘く脈打つ蜜の身体を抱き上げ…朝方まで抱き合った布団に再び蜜を押し倒す。緩く羽織っていた着物を剥がしながら、胸元に手を差し入れたが。
蜜が困惑した表情で俺の肩を押し
『ぁ…ッ、や…仟之助様…朝からこんな』
俺は蜜の手に指を這わせ…指先を絡ませつつ布団に押さえる。そして顔を近付け
『恋人ならば夜も朝も関係なく愛を交わす物だろう』
すると蜜の動きが止まり間近の俺を見つめ
『恋人…?』
俺はほんのりと微笑みながら
『私はそう思っている』
と告げた。
蜜は意味のわからないような表情を浮かべるが…俺はそんな蜜の頬に口付け
『今はまだわからなくて良い』
こうやって毎日…愛を告げよう。
言葉でも文でも。
そしたらいつの日か蜜の心も手に入れる事ができるだろう。そう信じたい。熱くなる互いの呼吸や身体の熱が溶け合う様に…混ざるように。熱く甘く蜜を抱き締め交わした。
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