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『政…今なら私は目を瞑っていてあげる事もできる。少しばかりのお金を持って…このまま去っても良いのだぞ』
思わず清の顔を見つめる。
清の瞳は真剣さを物語っていた。
『清様……』
『どちらでも政が選べ。私は恨みも悲しみもしない。目を瞑っていてやる』
……清様…っ
清がそっと瞼を閉じた。
『……っ、私は……』
俺は清の手をギュッと強く握る
『私は…清様に着いていきます』
清が…ゆっくり瞼を上げ
『…後悔しないか』
俺の心はもう決まっていた。
『致しません…』
清が優しく微笑み、俺の髪に指を入れる。
『…そろそろ、帰るか』
『はい』
清がゆっくり立ち上がり
『政…辛くなったら我慢するな』
『…はい』
清の優しい顔と優しい言葉に、何とも言えないぐらいに気持ちが高まる。
ああ、この気持ち
この気持ちはきっと
俺は……
清にお慕いしている
〃好き…〃だと
俺はこの日…強く実感してしまった。
…でも清と
清とは結ばれることはきっとない。
清は俺を下請けとして責任をもって育てる…育てないといけない立場にあるから。
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