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昼想夜夢(仟之助)
互いの熱い呼吸の中。
抱き締める腕の中で蜜が意識を手放して寝息を立て始める。意識を失う程に疲れさせてしまった…。時はもう既に朝方に成り掛けていて。
それほど迄に、時を忘れる程に、夢中で甘い身体を貪った。蜜を腕に抱いたまま、布団に身をくるむ。こんなにも…時を忘れる程に誰かを翻弄してしまうなんて初めての事で思わず苦笑が漏れ出た。
今まで抱いた女達でさえ、長時間抱いた事なんてない。そんな気になれなかったから。
男子相手に
しかも彼は男娼で。
沢山の客が付けば俺の事なんて忘れてしまうかもしれない。それが嫌だと思うなんて。蜜の中に俺を刻みたくて。残したくて。独占欲が湧いてしまう。
腕の中の蜜の…白い肌にそっと口付け、俺もゆっくり瞼を閉じる。
あの出会いから一年。
この一年間…いつもの如く言い寄られる事も多々あったが、誰の事も抱く気になれなかった。蜜の事で頭がいっぱいだったから。触れ合う事はあっても水揚げまでは抱けないという掟を必死に守った。
…一年待ったのだ。
恋愛という物に興味を引かれずにいた俺が一人の男を抱くのに一年。これはきっと恋患い。俺は初めて恋を患っていた。
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