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学園初日 「ドSのシュバルツ」
いかん、このままじゃヤラレる…!
理紗は高所による恐怖をねじ伏せ、なんとか逃れようと身をよじりもがいた。
こちらの焦りを感じ取ったのか、シュバルツは足を早め、抱き締める腕にも力を込めてきた。逃がす気はないとでもいうように。
理紗は軽くパニックに陥った。
「ほんとにもうけっこうですから下ろしてください!」
「そうは思えないな。まだ顔が赤い。それにほら──震えてる」
耳元でささやかれビクンと体が跳ねた。腰に甘いうずきが広がり理紗は目を見開いた。──自分はこんなに敏感なタイプではなかった。この体がいけないのだ!
なに感じてるのよっ、はしたないわよメアリローズ!
そうこうしているうちに目的地にたどり着いたようだった。
シュバルツは理紗を抱いたまま器用にドアを開け、室内に足を踏み入れた。
そこは落ち着いた色調の応接間のような部屋だった。
保健室にありがちな薬品の並んだスチール製のキャビネットや簡易ベッドは見当たらず、理紗は嫌な予感に眉をひそめた。
「……ここが保健室ですか?」
「いや、私の個人オフィスだ」
「はあっ?」
悪びれた様子もなく言ってのけ、シュバルツは部屋をつっきり奥のドアを開けた。
理紗は目を見開いた。
そこはどこからどう見ても個人の寝室で、中央にはベッドメイクの施された巨大なベッドが鎮座していた。
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