異世界初日 「夢の中でおやすみなさい」

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異世界初日 「夢の中でおやすみなさい」

王子の誘いを蹴ったあと。 家族だという見知らぬ他人と夕食をともにし、風呂に入って寝る支度をした。 いつまでたっても醒めない夢に、理紗はだんだん不安がつのってきた。 「これって本当に夢なのかしら…」 「なんです? お嬢様」 「なんでもない」 ドロレスがきれいに整えてくれた寝台に横たわり、理紗は思った。 「夢の中で寝るのははじめてかも」 「なんですって?」 「なんでも…。あ、そうだ。なんで私、王子と婚約してるの?」 「なんです今さら。お父上が国に貢献したことへの褒美に、国王様がお決めになったのですよ」 「それって私がいくつの時のはなし?」 「お生まれになるずっと前です。王子がお生まれになられて、こちらのお屋敷に女児が生まれたらというお約束だったのですよ。それがお嬢様です」 「ふーん。やっぱ政略結婚か」 「貴族ですもの。それは当たり前のことです。でもお相手があの見目麗しいエドアルド王子なんですからお嬢様はラッキーですよ」 「…そう?」 「そうですとも!」 婚約を解消したいと言ったことはドロレスには内緒にしよう。たぶんお説教を食らうだろうから。 夢の中で寝たら夢って見るのかな。それともいよいよ目を覚ませるのかな…と理紗はぼんやり考えた。 まあ悩んだって仕方ないよね。 ふぁ、とあくびをして目を閉じた。 目が覚めて会社にいったら友人に言ってやろう。 私、エドアルド王子をフってやったよ…と。 ……。
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