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学園初日 「醒めない夢」
シャッとカーテンの引かれる音に理紗は飛び起きた。
「なんっで…!」
豪華な寝台の上で愕然とする。
目を覚ましてもまだ現実世界に戻れていなかったからだ。
今日もメイド服に身をつつんだドロレスがほがらかに言い放つ。
「さぁさぁ、起きてくださいまし。本日から学園へ通うのですよ」
「学園…?」
いったいなんのはなし…と思い、ハッとした。
友人がハマっていたあのゲームは異世界ファンタジーでありながら学園恋愛ものだったのだ。
なんじゃそりゃ、と呆れたのを覚えている。
ドロレスが持ってきた制服はかすかに見覚えのあるものだった。ベージュのボレロと同色のワンピースだ。
それらに着替えさせられ、髪を結ってもらい、朝食をとったあとで来客を告げるベルの音が聞こえた。
ドロレスがニコニコ笑顔でやって来る。
「お嬢様、婚約者様がおみえですよ」
「はあっ?」
昨日の今日でいったいなんの用だ。
玄関ホールに続く巨大な螺旋階段を降りていくと、この家の執事と話をするエドアルドがいた。靴音に気づいてこちらを見上げてくる。
「やあ、メアリローズ」
昨日の事務的な様子とはうってかわって、にっこり微笑まれる。
そのキラキラエフェクトスマイルに理紗は目をしばたいた。いったい何事?
深々と頭を下げ執事が離れていく。それを見送り、理紗は口火を切った。
「今日はなんのご用でしょうか」
「学園までエスコートさせてほしい」
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