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学園二日目 「アリスの評判」
「フィアンセとして堂々と奪いに行ったらよろしいのですわ!」
「そうですわ!」
え、ちょっと…。
段々ヒートアップしていく二人に理紗はたじろいだ。
そんな展開、自分は望んでいない。
「エドはこの学園の副理事ですもの。なにか相談に乗っているのかもしれないわ」
「えー、でもぉ…」
「お姉さま、それでいいんですの?」
とりなすように言う理紗に二人はどこか不満げだ。
これ以上会話を続けたくなくて、用があるからと#暇__いとま__#を告げ、エドアルドの後ろ姿を横目に書架の並ぶエリアへと進んだ。
本好きの理紗が通っていた区立図書館ほどではないものの、そこそこ蔵書量は多いように思えた。
「肝心なのはその中身だけど…。実際読める本はあるのかな」
本はきちんとカテゴリー別に並べられているようだった。書架の側面にはゴールドのプレートに本のジャンルが記されている。
正午で皆昼食を取りに行っているからか、館内は人気がなく静まり返っている。
ほどなくして理紗の足が止まった。
書架のプレートに《 花咲ける乙女 》の文字があったからだ。
回り込んでそこに納められている本のタイトルに目を走らせる。
設定集、背景資料、シナリオ原案と並んで、《エドアルド》と題した本があった。アリスとメアリローズの名もある。
理紗は迷うことなく《メアリローズ》と題された本を手に取ると、その内容に目を通し始めた。
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