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休日 「王子からのお誘い」
「おはようございます、お嬢様。王子からオペラのお誘いが来てますよっ」
シャッと軽快な音と共に次々とカーテンが開けられていく。
頭まですっぽりと寝具を被った理紗は呻いた。頭が痛い……。
昨日はなかなか寝付けなくてやっと意識を手放せたのは明け方、空が白み始めた頃だった。
「今日、学園は……?」
「お休みでございますよ。さぁさぁ起きてください。今日は昼食後に乗馬のレッスン、夕方には仕立て屋がご機嫌うかがいに参りますからね。忙しいですよ」
「……じゃあオペラは断る……」
「お嬢様っ」
ドロレスが「信じられない!」と言わんばかりの声音で言う。
「これで何回目ですか! いいかげん駄々をこねるのはお止めくださいませっ」
駄々じゃない。と理紗はムッとした。
学園がある日もない日もエドアルドから連日何かしらの誘いがあるのだ。
はじめは物珍しさや婚姻を待たせている後ろめたさから応じていたが、もういい加減うんざりだ。
「オペラは長すぎるし今日は頭が痛いの。レッスンと仕立て屋だけで精一杯よ」
「ならそちらをキャンセルして夜までお休みください。それから短めのオペラを選ばれたらよろしいではないですか」
寝具から顔を出し、一歩も引かない相手に憮然としてみせ目をぐるりと回した。
まあっ、お行儀の悪い! と寝具をひっぺがされ渋々体を起こした。
なんでみんなしてそんな恋愛脳なの……とうんざりし、そうだここは乙女ゲームの世界だった、と理紗は肩を落とした。
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