プロローグ 「乙女ゲーム」

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プロローグ 「乙女ゲーム」

「くそっ、メアリローズめ! まだ諦めてないのっ?」 会社の社員食堂。 そこでスマホ片手にうなる友人に理紗は冷めた目を向けた。 「ながら食いはみっともないよ」 「だあってメアリローズが!」 「誰よそれ…。いい。なんとなくわかるから説明しないで」 「この女マジむかつくのっ」 アラサーにもなって乙女ゲームにハマリまくっている友人に理紗はため息をついた。 この子大丈夫かしら。 「それってそんなにおもしろいわけ」 「もちろん。理紗もやろうよー。絶対ハマるよ?」 「いや私はいい」 「なんでよっ。食わず嫌いは損するよ? 見てホラこれ」 ずいっと目の前にスマホをつきつけられ、理紗はのけぞった。 画面にはキラキラエフェクト満載の金髪ロン毛の貴公子が、爽やかな笑顔で理紗を見つめている。けっ。 「悪いけど趣味じゃない」 「うっそー。エドアルド王子めっちゃかっこいいじゃん! 理紗目ぇ腐ってんじゃないの?」 「それはあんたの脳みそよ」 「えー。まあ確かにちょっととろけてるのは否定できないわ。あー、チョーかっこいい…」 スマホを胸に抱き、うっとりする友人に理紗は吹き出した。
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