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と、その時、ドアがノックされた。
「はい?」
麻耶の代わりに雅美が返事をした。
「あの、大丈夫でしたか?」
男の声だった。
「ああ、はい、もう大丈夫です」
「失礼しても良いですか?」
「ええ、どうぞ」
雅美はそう言ってから、すかさず麻耶のほうを向き直った。
「あんたが倒れたのを見つけてくれて、運んでくれた人よ。ちゃんとお礼言いなさいよ」
「う……うん」
そう言いつつ、麻耶は嫌な予感が拭い切れない。
ゆっくりとノブが回り、そしてドアが内側へと開いていく。
「失礼します」
ドア越しで無いその声は、麻耶に確信を抱かせる。
この声に聞き覚えがある。
そして、声の主が顔を覗かせた。
「賀茂ナス!!」
何てこと、こんなところまで。
賀茂ナスと目線が合う。
にやりと、賀茂ナスが笑った。
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