よくある話

2/2
前へ
/2ページ
次へ
「離れないようにね?」  翔くんにそう言われ、それと同時に手が差し出される。  手を……繋ぐってこと?  私は恐る恐る手を伸ばす。  すると翔くんがその手を掴んだ。  体の奥からドクンと跳ね上がるものを感じた。 「早くしないと花火始まっちゃうね」  翔くんが私の手をしっかりと握って引っ張っていってくれる。  周りには人が沢山いるはずなのにまるで翔くんしか見えなくて、他の人がみんなスローモーションにさえ見えた。  いや、本当にスローモーションに――  窓から陽の光が差し込んでくる。 「翔くんって、誰だよ――」  ベッドの上でそう呟いた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加