夕暮れ時の雑踏にとけて

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夕暮れ時の雑踏にとけて

毎朝揺られる満員電車。電車から押されるように降りて、流されるまま人混みの中を歩いていく。 人が疎らになった道を進み勤務先へと辿り着いた。 社会人一年目の私は、高校卒業後アルバイトで貯めたお金をはたいて、家から二つ離れた県に上京し中小会社に勤めることになった。 勤め始めて約一ヶ月の私は上司に怒られる事が多々ある。すみませんでしたと謝り、心の中で確かに積もる疲労を感じながら今日も出勤している。 怒られる事も此処に勤めることになったのも全て、自分が元から不出来なせいでこうなったのである。 共に入社した同期の人は優秀と周りから褒められ、一方私は「出来がよくない人だ」と囁かれた。そして、今日も聴こえたその声に分かってるよ煩いなと心の中で言い返す。この声は届く事は無い。
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