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その後、俺の手の腱鞘炎を知った母は
これ以上、息子に苦労させまいと父との離婚を決め
シングルマザーで俺を育てる事を決意した
父がいた時に比べ生活は質素になったがあの音楽に殺さそうな
家に比べたら幸せだったし
何でもない日でも母は、お菓子をくれた
母の手作りおかしも嬉しかったがやはりあの時、少年がくれた
焼き菓子の味が忘れられなかった
音楽を演奏して喜んでもらえる俺の手よりも
人に幸福をもたらすあの繊細な手が尊くて愛おしくてたまらなかった
もう、彼に会う事はないのかと落ち込んでいた俺に運命の出会いがあった
小学校の入学式の隣の席に彼がいた
彼は、俺の事は、覚えていなかった
ずっとうつむいていたのだから顔など見ていないのだから仕方がない
それでもよかった
彼に会えただけでよかった
この彼の手だけは、何としてでも自分が守るのだと決意した
きっとそれが俺にとって初恋で今も続く片思いなんだ
片思いでも俺の初めては、イツキがいいと叶わなくても願っていた
そんな願いは、あっけなく散った
高校受験で家庭教師を頼んでいた先生にあっけなく初めては奪われた
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