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カーテンの隙間から光が差し込んで、僕の瞼をじりじりと突き刺してくる。
まだセットした目覚ましは鳴っていない。ということは、6時前である。
目を開けることを極力回避し、身体を反転させもう一度軽い眠りをむさぼろうとするが、一度覚醒してしまった意識はそう簡単に眠りへとは入らない。
「―――あぁっ!くそっ!もうっ!!」
誰ともなしに文句を言い、身体を起こす。時計を見ればまだ5時30分だ。
まだあと30分も眠ることが出来たはずだったのに・・・っ。
昨日の悪夢がまさに悪夢となって僕を襲ってきて、浅い眠りをむさぼるしかなかった。全部、全部あの人の所為だっ!
ハンガーにかけておいた、カッターシャツに袖を通し、腕まできれいに織り上げる。半袖を着ればいいんじゃない?と思う方もいるだろうが、今はこれが学生の間の通例なのだ。許してほしい。
通学用のリュックに今日必要なものを入れて、体操服を別のトートバックにしまう。勿論、タオルも忘れずに入れておく。
ちょっと早いが、弁当の準備に取り掛かってもいいかと思い、下に降りることにした。
「おはよう、愛斗君。」
悪夢はまだ続いていたらしい。
夢であってほしいことは、現実で現在進行形なのだということ僕に突き付けてきた。
「―――おはっ、おはようございます。」
僕は鶴城さんの顔を見ることなくキッチンに向う。コーヒーメーカーに豆をセットし、スイッチを入れる。ばあちゃんのお気に入りのコーヒー豆だ。
ほどなくして、コポコポと音がしだし、辺りにいい香りが漂い始める。
僕は冷蔵庫から材料を取り出し、お弁当の準備と朝食の準備に取り掛かる。
その間じっと僕の動きを見ている鶴城さんの事はシカトしていることは本人も自覚しいていることでしょう。――んな事しるかっ!
僕は自分のお弁当を作ると、一応もう一つ用意する。だって、自分のだけ作ってほったらかしとか、人としてどうかと思うもの。
こうやって構うから、付け込まれてしまうのだろうけど、やっぱり・・・ね。
「これ、お昼に食べてください。冷蔵庫にしまっておきますから、レンジで
チンして食べてくださいね。ご飯はジャーにある分食べてしまっていいです
晩御飯の分は、帰ってから炊きますから。」
僕がそう言うと、彼はぱぁっと目を輝かせて満面の笑みで頷く。
そんなに嬉しい事だったのだろうかと、僕は不思議に思う。
「ありがとう、大事に食べるよ。」
鶴城さんはそう言うが、大事に食べるって一体どういう事なのかと疑問に思う
食べてしまったら何も残らない、あとは排泄物になるだけの事。
朝食が出来上がったので、テーブルに並べる。彼も昨日見て覚えた箸やお椀の場所からそれぞれを取り出し、並べていた。
僕たちは昨晩と同様、一緒にいただきますをして、一緒にご飯を食べた。
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