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「え・・・、ヤバいかもしれません。鶴城さんほとんで寝ていません!」
思わず言ってしまった僕の言葉に綾子さんは一瞬驚いた顔を見せたが、次第にニンマリとなんとも表現しがたい表情に変わっていく。
「・・・えー?なになに?どういう事?朱羽ってば寝てないの?なんでかな?
おんやぁ?そう言えばよく見たらマー君・・・首筋に珍しい痣つけてる。
ホーホーホー・・・やるじゃない?我が息子も・・・。」
「綾子さま・・・朱羽様は愛斗様が夏休みに入られてからというもの、もう
毎晩毎晩・・・おっふぅ・・・私は愛斗様のお身体がし、心配で・・・
堪らなく興奮してしまいます!!」
急に会話に参戦してきた小春さんは、綾子さんとタッグを組んで僕をじりじりと追い詰め始める。ニマニマした顔が2つどアップで迫ってくる恐怖はなんとも形容しがたい。そして、小春さんに至っては、僕の身体の心配なんてもんはしていないだろうと確信できる。なんせ顔が・・・もう完全にもとのあの可愛らしい顔ではなくなっているのだから。
「んまっ!毎晩ですって・・・っ!何よそれ、最高じゃない!!どうしよう、
私この大祭が終わったら戻ろうかと思ってたけどやめようかしら・・・。
そのまま御木家にお泊りツアーってのもありよね?ねっ?」
―――いや、それはない。そんなツアーはない。そんなガイドマップ見たことすらない。
「いいですねぇ・・・流石綾子さま!私も参加させていただいでもいいですか
こんなおいしい企画に参加できないなんてサークルの代表として失格です!
これは私達乙女のメインディッシュなのですからっ!!」
乙女のメインディッシュの概念が間違っているよ、小春さん・・・。
そんな遠くを見てガッツポーズで格好よく決めていても、全然決まっていないからね?むしろ、なんか悲しくなってくるだけだから・・・。ね?
「翠一さんもそりゃ・・・もう、すんごいんだけどね?まさか朱羽もその血を
色濃く継いでいるなんて・・・。私見直したわ、朱羽の事。」
綾子さーん・・・もっと違うところで見直してあげて下さいよ。鶴城さん、とっても頼りがいがあって僕にとってスーパーマンみたいな人なんですよ。
下半身が異常に強いって事が見直す所なんてあんまりだと思うんです。
当主様の事を話すときにほんのり頬を赤らめて話すなんて、可愛らしいと思うんですよ、でもね、内容はちょっとね・・・。
「あのー・・・そんなツアーはないです。お泊りなんてダメです。部屋数も
そこまで多いわけでもないし。それに人をお招きできる準備ができていませ
んよ。掃除だってある程度しか出来ていないんです。」
お客様を招くならばそれなりに準備しなきゃいけない。ばあちゃんだってそうやってきちんと準備してた。急にきても来客用の布団だってほしていないし。
「マー君!そんな事はいいのよ、私達は寝袋持参で構わないわ!気にしなくて
いいのよ!そういうんじゃないの、いつも通りの2人の生活を私達は見たい
って事なのよ!そうっ!!!特に夜になったバージョンをっ!」
あー・・・なんだぁ・・・鶴城さんがどうしても変態なのはやっぱり遺伝子の力のなせる業なんだなぁ・・・。濃いよなぁ、遺伝子の力って、うん、濃い!
鶴城さんは染色体レベルで変態なのだということがこれで証明されたんだ。
親からの頂き物なれば、それをどうこう言えるわけがない。もう、諦めよう。
「見せませんよっ!そういうのは、普通2人だけの秘密ってやつでしょ?
しかもピンポイントで夜だけっておかしいでしょう?二人とも落ち着いて
冷静になって考えて下さいね。しかも話題どんどんズレてきてます。」
今は、鶴城さんが寝不足で夜通しっていうのがまずいって話なんだ。確かに、そのねちゃねちゃしていた自分達の責任ではあるのだが、そんなに過酷なことが待っているというなら、僕だって全力で1回・・・んー、2回で終わらせるようにお願いしていたところだ。鶴城さんが1回で終わるという事はいままでなかったからそれは無理なんだと思う。・・・というか、終わっても直ぐに2回目に入っちゃうから境目がないというか・・・なんというか。
「ひーーーっ!小春聞いたかしら!2人だけの秘密なんてなんて甘美なの!!
その甘い匂いに誘われてしまうのが私達のような乙女なのよね。」
「はいぃぃっ!間違いございません!今日は私の指もぶっ壊れるまで動きます
我がサークルも盛大な盛り上がりを見せる事間違いなしです!愛斗様は
よくわかってらっしゃる!」
もうどうしようもないな、この人たちは。僕が何を言っても脳内変換の何かがぶっ壊れているんだ。それに綾子さん・・・乙女って、ちょっと無理がある。
あなたのような超絶な美人は乙女という表現は似合わない。
次の言葉はないのかと、今か今かと待ちわびる表情もやめて欲しい。
僕はいつだって普通のことしかはなしていないんだ、この2人を喜ばせる様な内容は1つも話していない。
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