ぁんっ!

18/26
1439人が本棚に入れています
本棚に追加
/231ページ
「ね?こんな所でそんな顔しちゃ、ここにる野獣たちのいい餌になる。」 鶴城さんは呆れた表情で僕を優しく諭す。僕はすっかり忘れていたのだ。 ここがまるで自分の家で2人っきりの空間であるかのように思ってしまった。 「・・・うっううんっ!!朱羽様も、愛斗様もちょっと落ち着いてください。  私達は休憩に来たんです、これじゃ休憩にならないでしょう?」 上野さんも声で、ここに上野さんまでいる事をすっかり忘れたいたことに漸く気が付いた僕。瞬間的に現実に引き戻され、急激に顔が熱くなっていったのは言うまでもない。 本当にほんのちょっと会えなかっただけだというのに、僕はどうしてしまったんだ?寂しいなんて単純な言葉では言い表せないくらいに、会えなかった事が苦しかった。 「えー、わたしは今ので完全に復活したけど?上ちゃん羨ましいでしょ?  愛斗の甘え上手っぷりにグッと来たんでしょ?ざんねーん!愛斗はわたしの  愛斗だからこれはわたし以外に体験できないんだよー。」 僕を抱きしめて頭にほおずりしてくる鶴城さんから逃げようとしたが無理だった。ゆるゆると話しているが、鶴城さんは想像できないくらいに力があって、僕の事をしっかりとホールドしているのだ。こうなってしまったのも多分僕が悪いのだろうけど、でも、物凄く恥ずかしいからとにかく今は解放して欲しい 「わっ・・・あのっ、やっ!つ、鶴城さんっ、はなっ、はなしてっ」 彼に触れられた部分は何故か性感帯の様になってしまって、エッチな気分でなくてもぞわっとしてしまう。決して嫌悪感ではない事はもう十分自分でわかってる。イヤイヤと首を振っても身体をひねって脱出しようにも僕の身体はビクともしない。 「ほらー、みんなして愛斗をからかうからこんなに照れちゃってるじゃん!  見せたくないから早くこの部屋から出て行ってください!」 そんな事を言われたら余計に顔が真っ赤になってしまう。意識し過ぎると反応してしまうんだから!人間ってそんな生き物だから!! こんな顔をとって何が楽しいのか、小春さんはハァハァ言いながらこまめに親指を動かしている。きっと今日も彼女のサークルは盛り上がるんだろうな! 綾子さんは布団にくるまって右へ左へと反復運動しているし、きっと服がぐちゃぐちゃになっている事は予想できる。 「出て行くわけがないだろ、今出て行ったら間違いなく、お前もう仕事しない  それによって誰が一番困ると思うんだ?だからここを動かない!」 格好よく宣言し、腕くみをしたまま仁王立ちで襖戸の所にいる上野さんは、ある意味ビシッと凛々しくもあった。ただ、内容があまりにもしょっぱい。 確かに上野さんの言っている事は当たっているだろう、なんせさっきから僕の服の中に手を入れてきてお腹の辺りをなぞったり、さすったり・・・明らかに手つきが怪しい。わき腹辺りまで侵略してきている。 「ちょっ・・・鶴城さん!ちょ、もーっ!!」 僕が身体をよじって厭らしい手から逃れていると、不意に口を押えられ、服の中に入っていた手が僕の小さな胸のしこりを摘まんできた。 瞬間的に背筋に電気が走って、ピクピクと反応してしまった。 「――――っ!んっ、ンんっ!!」 鼻にかかった甘い声が漏れて、時間がまた止まってしまった。ほんのちょっとつままれただけのしこりはもうしっかりと尖っていて、触れるか触れないかの距離にある鶴城さんの指先を恋しがっている。触れられていなくてもすぐそばにある彼に体温を感じている。トロトロになりそうな感覚を必死に抑えて、僕の真上に居る男を睨みつけてやる。こんな所で一体何を考えているんだ!! 「――――やー・・・ちょっと、その顔は・・・あー・・・。」 言い終わると同時に僕のお腹付近に、袴の中の下着の中で窮屈そうにしている硬くて明らかに大きいとわかる雄を擦り付けてきた。その成長の早さと、相変わらずの存在感にビクつく僕は目を見開いてただ彼を見つめた。 「待て待て待てーっ!!マジで今日はダメだ!今からまだ大事な仕事が残って  る!愛斗様もそんな可愛い顔してコイツを煽らないでください、それはダメ  そんな可愛い顔しちゃダメ!」 上野さん、僕は睨んだんです。こんな事しちゃだめって叱ったんです。本当です、なのに鶴城さんは変態だから僕に怒られて喜んでいるんです、ただそれだけなんです・・・。
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!