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やっと我が家についた時にはもう時計は、20時を指していて、どれだけグダグダとくだらない事に時間を費やしたのか・・・。 無駄な時間を有効的に使えていたら、洗濯物も、ご飯の支度も、もう既に終わっていたというのに!返せっ!僕の時間!! 「はぁ・・・っ、もう疲れた。ご飯簡単なのものでいいですか?僕、正直  頑張れる元気がないんですよね、今。」 冷蔵庫の中身を確認しながら、居間にいる鶴城さんに声を掛ける。 お魚焼いて、お浸し作って、お味噌汁でいいか・・・。あと、冷ややっこしよう。大葉をもらったから丁度いい。 お米を洗って、炊飯器にお願いする。制服のままだけど、ある程度の準備をしていかないとどんどんご飯の時間が遅くなってしまう。 鶴城さんからの返事がなかった為、そちらの方を見ると、見たこともないような難しい顔つきで、資料を読んでいた。 いい男があんな顔をすると、やけに迫力があって、声を掛ける事をためらってしまう。てっきりニートだと思っていたのだが、どうやら違うみたいだ。 パソコンを取りだすと、物凄い速さでたたき始めた。僕からしたらそんな事は神業に近いと思う。 ニートではない事にホッとしたし、パソコンを使い始めて、眼鏡をかけているのだが、これがまたなんとも言えず似合っていて、不本意ながらもドキッとしてしまったのだ、僕は・・・。 魚のジュ―ッと油の落ちる音で漸く視線を外すことが出来たのだが、暴れている心臓は一向に落ち着く気配を見せない。 会ってから変態行為と、ストーカーちっくな事と、自分勝手な所しか見ていない僕にそのギャップはあまりにも効果的すぎるじゃないか! そんな奥の手を持っていたなんて、大人は卑怯だ、色んな引き出しを持っているから、手品師の様になんでも出してくる。 「―――ん?あ、ごめん、なんか言った?」 眼鏡をはずしながら僕の方を見て、もう一度聞こうとするその仕草。 そういうのも良くないと思う。仕事がひと段落した出来る男がやる、めっちゃ格好いい仕草だと思うから。そこに、爽やかな笑顔まで足されてくるんだからこっちは堪ったもんじゃない! 例え、鶴城さんが変態だと分かっていても、ドキドキしてしまう事をとめられないじゃないか。 「えっ、いや、その、簡単なものでいいですか・・・って。」 「あぁ、うん!もちろんだよ。わたしは愛斗君が作ったものならなんでもいい  楽しみにしてるよ。」 爽やかすぎる笑顔を見せながら、また眼鏡をかけ始める。あぁ、眼鏡って破壊力が半端ないと思う。僕は好きだな、ノンフレーム眼鏡。 ・・・いやっ、いやいや!落ち着けぼくっ!負けるな僕!! 危うくフラフラと吸い寄せられてしまうところだった。恐ろしい武器だ、眼鏡 僕は魚をひっくり返し、お浸しづくりに専念した。
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