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簡単な晩御飯を食べ終えて、ふと時計を見ればもう21時を回っていた。 僕の貴重な大事な睡眠時間が削られていく・・・。今日は読みかけの本をある程度まで読んでしまおうと、自分の中で決めていたのに。 食器は食洗機君に任せて、あとは洗濯物を始末しなければならない。 1人分だと、毎日しなくてもいいことがあるが、2人分だと、意外とたまる。 それに今日は体操服も使って早く洗いたかったのだ。 高校生男子の汗を甘く見てはいけない、いくら僕でも男臭はするんだ。 「愛斗くーん、お風呂入ろうと思うんだけど、一緒に・・・。」 最後まで聞く必要のない言葉は、ドアを閉めて遮ろう。変態の言うことをいちいちまともに聞いていては時間がいくらあっても足りない。 「・・・・愛斗くーん、しめなくてもいいじゃない。」 変態はそう簡単には諦めない。僕はもう学習してあるから大丈夫、こんな事でイライラしたりしない。だけど、やたらめったら触られるのだけは許せない。 纏わりつく、という表現がぴったり合ってるかもしれないな。 洗濯物をネットわけしている所に、後ろからすっぽりと抱きつかれてしまったら、邪魔で仕方ないということぐらいわかるだろう? 「はなっ、してっ、くださいっ!もう!邪魔!進まないんですっ!」 腕の中で暴れてみてもびくともしない、この立派な腕。どんな筋トレをしているのか教えてほしい。既に上半身裸で、体温をリアルに感じてしまう。 「―――お風呂・・・どう?」 耳元でささやくように話す鶴城さんの息がダイレクトに身体中に入ってくる。 背中をぞわっと、なんとも甘い感覚が伝っていく。 「っ!やめっ!はっ、うっ、ん、はな、してっ」 僕の性感帯こんなところにもあったらしい。こんな変態に教えられるなんて屈辱だ!しかもなんだ、”今晩、どう?”みたいな感じでお風呂を誘ってくるなんて、この人変態の引き出しが半端ない。 「・・・可愛いね、愛斗君。そんな可愛い声、わたし以外に聞かせないでよ?  あぁ、録音してエンドレスで毎日聞きたいよ。」 耳元で変態が、変態の願望を話しているのだが、抵抗しようにもぞわぞわして力が入らない。せっかく仕分けした洗濯ネットもギュッと丸まって何が何だか 「も、ホントにぃ、はなして・・・。」 膝がかくかくし始めたころ、僕は懇願というもっともこの男に使いたいくなかった手を使ってしまったのだ。 「はぁー・・・ほんっとに可愛い。早くわたしのモノになりなさい。ね?」 鶴城さんは、いつの間にか中央にそびえたつお山を僕の腰あたりに押し付けていた。自分にもついているが、遥にでかいような気がするのは気のせいだろうか。そして、押し付けられているのにも関わらず、嫌悪感を感じていない自分自身に驚いてしまう。 こんなの嫌がらなきゃおかしいのに、僕は嫌がるどころかドキドキしてしまっている。早くこの腕を振り払わないと変な気分になってしまう。 「―――今日は何もしないよ。さて、わたしは風呂へはいろうかな。邪魔して  ごめんね。」 僕の限界を悟ったのか、はたまた満足したのか・・・それはわからないが、鶴城さんは風呂場へと消えて行った。鼻歌を歌いながら、それはそれは上機嫌で 僕はしばらくその場から動けなかった。
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