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賢者タイム・・・というやつなのか。僕はたっぷりとため込んでいたものを出して、ベットの上でぼんやりと脱力している。 鶴城さんは、にこりと微笑むと手の中に出された僕の遺伝子たちを眺め、べろりとひとなめした。 ”やめろ”と言いたくても、この脱力感で何もできそうにない。 彼はいったん部屋を出て行くと、お湯で濡らしたタオルを持ってきて、ボクを綺麗に拭きはじめた。 さっきの快感は今まで体験したことが無いぐらいに凄かった。 マスターベーションなんて、適度に擦って終わり、というのが常だと考えていた僕には、未知の体験で、脳内がまだぼんやりと霞がかっている感じだ。 「今日はこれ以上は何もしないよ。本当はもっと時間をかけてって考えて  いたけど、こんな可愛い事をされてちゃ、わたしもじっとしてられなくてね  ――次は、もっと濃厚なやつ期待しててね。」 ぼんやりしている僕のおでこにキスを落とし、鶴城さんは部屋から出て行った その様子を、ただ視線で追うだけで抵抗などできなかった。 お風呂に入っていなかったことを思い出した僕は、とっても汚いものを彼に触らせてしまったことを後悔する。明日、謝ろう。 ようやく動けるようになってきた身体を動かし、のろのろとした動作でお風呂に準備をし始める。 結局僕は、おかしいのだろう。男の人に触られて、男の人の手で感じて、男の人で勃起する。やっぱり僕は気持ちの悪い存在なのだ。 シャワーを浴びながら、まだかすかな熱を帯びている唇に触れる。 さっきまで、ここに鶴城さんの唇があって、何度も何度も唾液の交換をしていたのだ。心よりも先に身体の関係を築いてしまうなんて、僕は不埒な人間なのだと知る。 結婚するまでは清い関係をと考えていた僕の人生設計はもろくも崩れ去ってしまったわけだ。しかも、男の人相手にだ。 鏡に映る自分の姿は、なぜか男としての感じよりも、女の子っぽく見える。 姉と僕はあまり似ていない、姉は父親に似ていてきりっとした美人だ。 正直姉の方が角度によっては男っぽく見えて、格好いい時がある。羨ましい。 「整形したい・・・。」 風呂場でぽつりとつぶやいても、声が響くだけで何の答えもかえって来やしない。僕は浅いため息をついて、風呂場を後にした。 もうとにかく寝て、一旦頭の中を整理しないとどうかなりそうだった。
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