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「御木さ、御園とどういう関係なの?」
織辺君に助けられたため、教室までは一緒に行く事になった廊下で、彼は唐突にそんな事を聞いてきた。
そもそも、御園さんと話をするようになったのも、つい最近の事。
従って、どんな関係も何も・・・ただのクラスメイトです。君と同じで。
「関係って・・・クラスメイトでしょ。織辺君も同じクラスメイトじゃない?
なんでそんな事聞くんですか?」
僕は不思議に思って、質問の意味を織辺君に問いかける。
彼は、一瞬考えて、僕にこう聞きなおしてきた。
「御園と付き合っているの?」
目玉が飛び出そうなくらい驚く、という言葉がピッタリなくらいに、驚いた。
あんまりにも驚いて、あー、も、うー、も声が出ない。
「どうなの?」
攻め立てる様に聞いてくる織辺君に、僕は慌てて答えた。
「どこをどう見たらそう見えるのか教えて下さいよ。お付き合いなんてこの
17年間、ん?もうすぐ18か、ないですよっ!」
君とは違うんだよっ!女の子がゾロゾロと列をなして、月にまで届きそうなぐらい並んでいる訳じゃないんだ!あぁ、こんな悲しい事をいうはめになるなんて、虚しくて仕方ない。
僕の答えに織辺君は満足そうににこりと笑った。
クソっ!勝ち誇った笑顔なんて見せて、そんなに嬉しいか、モテない童貞男子をバカにして!
「そっか、よかった。流石に御園が相手だと辛いからな、違うなら遠慮なく
御木に近づけるよ。」
なーに言ってんだ?僕はこんなにも関わらないで欲しいとお願いしてるのに、堂々と関わります宣言するのやめてくれ。迷惑だ。
御園さん相手だと辛いってなんだよ、大丈夫だよ、君たちはお似合いの究極カップルさ。きっと隣町にまで噂は流れるだろうよ。
「御園さんはモテるみたいですからね、心配なのはわかります。けど、まあ、
織辺君ほど格好いい人なんてそういないでしょうから、大丈夫ですよ。」
僕は、織辺君を励ました。友達ではないけれど、こんなに気にしているのなら応援したり励ましたり・・・こういった面倒くさい事もやってあげるべきだろう。
「ちょっと待って、御木なんか勘違いしていない?お前に格好いいと言われた
事は嬉しいけど、なんか話がずれてるようなきがする。」
織辺君は眉間に皺を寄せ、僕に言ってきた。何を勘違いしているというのだろう。この話の流れで勘違いも何もない。僕が最近御園さんにやたらと絡まれている事が気に入らない、という事なのだろ?
そんなの、答えは1つだ。織辺君は御園さんの事が好きだからそんな心配をするんだよ。こんなの、恋愛漫画や恋愛ドラマでもよくある話じゃないか。
僕なんかよりもずっと恋愛している割に、なんてニブちんなんだ。
いや、待てよ?もしかしたらこれがモテる秘訣なのか?気付いているけど、気付いていない、ちょっとおまぬけさんキャラか?そうか!それを演じているんだな!なるほどーっ・・・。
織辺君と話していると、実践的恋愛術が勉強できてとてもためになる。
僕の中の恋愛スキルがアップした気がする。だが、これをまんまトレースしたのでは意味がない。これは織辺君だからこそ通用する手口。
格好よくて、人気者の彼だからこそ使えて、なおかつ最大限の威力を発揮するスキルなのだから。
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