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やっと授業が終わった。最近学校にいる間の時間がやたら長くかんじてしまうのは、きっと人に話しかけられているからだろう。 集中している時間がないから、ダラダラと時計を見てしまうんだ。 僕は、リュックに必要な教科書を詰め込む。さっさとしないと、また変に誰かに声を掛けられてしまう恐れがある。 今までこんな風にバタバタと準備をしたことがあっただろうか。 本当に迷惑な話だ。僕の時間が、他人によって計画を崩されているなんて。 「御木くーん!待って、お願い、待って。」 教室の後ろのドアから廊下に出た辺りで、また御園さんに止められた。 もういい加減にしてくれ、ここ最近毎日同じことを思っている事にも飽き飽きしているんだ。 「――何ですか?僕、家に帰ってやらなきゃいけない事があるんです。」 それに、多分、本当に鶴城さんはあそこで待ってると思う。あの広場で、あの黒い車で僕を待ってると思うんだ。 「うん、あのね。私、今度パパの誕生日にお料理を作ろうと思ってるのよ。  それでね、あの、私実はお料理が得意じゃなくてね、良かったら御木君  教えてくれないかなって・・・。ダメ・・・かな?」 いや、あなたつい最近スーパーにいたじゃないですか。お友達と買い物かごに一杯食材積んでませんでしたか? 「えっと、けど、御園さん、この前スーパーで会った時、メチャクチャ食材  買い込んでませんでした?なんか見たことないスパイスもあったし。」 僕は人の買い物かごを見てしまうという、失礼な行為をしてしまう時がある。 どんな調味料を使っているのか、今後の参考にさせてもらうために、マダムたちのカゴを見てしまうのだ。 先日、御園さんと初めてスーパーで会った時も、つい見てしまったのだが、見たことないようなスパイスを買っていたし、ムール貝やイカなど、結構料理が出来そうな食材がわんさか入っていたはずだ。 「あっ、あぁ、あ、あれはねっ、私じゃないの!友達が作ってくれるって、  それであんなにお買い物してたのよ。」 御園さんは僕の質問に、両手を顔の前でひらひらと振りながら答える。 「じゃ、その方に教えて頂けばいいじゃないですか?そんなにいいお友達が  いらっしゃるんだから、僕に頼むようなことじゃないでしょう?」 あれはきっとパエリヤとか、パスタとか、なんかよく分からない、イタリアンみたいなやつを作ったんだと思う。 基本、僕は和食中心だし、よくてもハンバーグやら、中華ぐらいなもんだ。 凝ったオシャレな料理まで作れたりしない。ばあちゃんが教えてくれた。田舎の野菜と魚中心の料理がメインだ。  
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