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私が目を付けた男は、私が思う通りになってくれなきゃ嫌だ。
この私が、好意を抱いたなら、相手はそれ以上に好意を寄せてくれなきゃ嫌だ
私が頼みごとをしたら、快く引き受けてくれなきゃ嫌だ。
御木君、あなたは何一つ私の思い通りにならない初めての男。
あんなに綺麗な顔をして、そんな素晴らしいものをずっと隠して、このまま私の前からいなくなるつもりだったの?
そんなの私が許すとでもおもっているのかしら?甘いわね。
私は必ず、貴方を手に入れて見せる。今までだって、望んだことがかなわなかった事なんて一度もないもの。
この学校の男子は、みんな私と付き合いたいの。みんな私の事が好きなのよ。
他校の男子からだって、毎日、毎日、飽きもせずに入れ代わり立ち代わりと言いに来るわ。以前なら、まぁ、遊んであげるくらいの事許してはいたけど。
今はダメ、御木君が私の前に現れてしまったから。御木君がいけないのよ?
あんな風に綺麗な顔で、私の事を見つめたりするからいけないのよ。
あの時、いつもはいかない地元の地味なスーパーに行くのは嫌だったけど、行って正解だったわ。里佳子が私の為に料理をしてくれるなんて言い出さなかったら、あんなところ一切用事がなかったから、里佳子にも感謝してるわ。
パパに里佳子のパパの事話したら、すぐに昇進したものね。
あの時に会った、貴方のその髪に隠れていた顔を見た時、こんなにドキドキしたことはなかったわ。もう間違いなく運命なんだと確信したのよ?
だから、帰ってパパとママに直ぐ相談したわ。
御木愛斗君の事を知りたいって。なんてことはないの、パパが貴方の亡くなったママの事を知っていたから。とても美しい人で有名だったって・・・。
パパも、密かに憧れていたぐらいだったって言ってたわ。素晴らしい事じゃない?パパの初恋の相手の息子と、実の娘が恋に落ちるなんて・・・。
パパも全力で応援してくれるって言ってたわ。ママはいいのよ、だって、ママはパパのお金と結婚したんだもん。ママは御木君のパパにずっと恋していたらしいわ。ほんと、家と御木君のお家って縁があるのね!
御木君が望めば、私は直ぐにでも御木君の前にこの身体を晒すわ。なんの遠慮もいらないというのに、あなたは全然欲しがらない。
とても真面目で、いい加減な気持ちでそういう行為をしない。そういうところも大好きなの。今日だって、御木君の為に、とっておきの下着をつけていたのに、貴方は見なかったわ。
どうやって、御木君を手に入れようかと、毎日考えてる。
織辺君が邪魔ばかりするから、本当にイライラするけど。でも大丈夫。
私には捨て駒が沢山いるから、その子達に織辺君の事は任せておけばいいの。
捨て駒・・・なんて言い方悪いわね、お友達ね。
「香菜さーん!帰りましょう?部活はいかれるんですか?」
ほら、お友達が私を呼びに来たわ。全く、私がいないと何にも出来ないのね。
お金もないし、男もいない。可哀想な、私のお友達。
私は生徒玄関に向かう御木君に、ありったけの想いを込めて視線を送る。
どうか振り向いて、私のものになりなさいと・・・・。
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