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貪り、嬲り、甚振り、また貪り。
少女によって刻まれた歯型からは深紅の血が滴り、青紫色の痕が青年の躰に浮かび上がった。
「あっ…あっ………もっと、もっと、虐めて。」
「貴方に決定権なんてないの。」
「ご…ごめんなさい……でも、でも、欲しいです…君の愛だけが俺は欲しい。」
大粒の涙を零す青年が異常なのか。
平然と自らが作った傷口からの血を飲み干す少女が奇異なのか。
きっとこの光景を目の当たりにした人間には、判別がつかない事だろう。
「強欲な人間は愚かだと、貴方の奥様が言っていたっけ。その際、貴方は平静な態度で聞いていたわよね。奥様の言葉を肯定し受け入れる良き夫。きっと、親族皆そう思っていたわ。」
“私以外はね”
花が綻ぶように、少女が何とも純粋で無邪気な笑みをぶら下げた。
そして、酸素を奪われ口を開閉させている青年の唇を彼女が塞ぐ。
「ふぁっ……んんっ………。」
これを待っていたのだろうか、少女の舌に自らのそれを絡み付け相手の唾液を飲み下す青年の表情は、歓喜一色だ。
それが面白くなかったのか、早々に唇を離した少女が小首を折って問い掛けた。
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