蒼い樹が薫る(小話)

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「俺はね、コンニャク! あと大根があったら満足」 「いっちゃんは昔からおでんのコンニャク大好きだったよね」 「あぁ」 「他のコンニャク料理はそうでもないのに何故かおでんのコンニャクだけは別格だったね」 「まぁな。あ、ちゃんと筋目入れてくれると嬉しいな」 「うん、その方が味が染みるもんね」 いっちゃんの答えは予想通りで安心した。昔から知っている味覚がそのまま残っているというのが私にとっては嬉しいことだった。 「じゃあ薫さんは? 何か希望ありますか」 「飛竜頭」 「は? ひ、ひりゅ…」 「飛竜頭。好きなんだ」 「……ひりゅうず」 (って何?!) 今までに訊いたことがない名前に戸惑った。 (薫さんの好きなもの、折角教えて貰ったのに~~) 頭の中では色んなことが高速回転して必死に知識を総動員して考えるけれど、やっぱり思い当らない名前。 「…あれ? ダメ? 邪道、かな」 「あ……あの」 何故か素直に「ひりゅうずって何ですか」と訊けなくて戸惑っていると 「バカ薫! 飛竜頭なんて小難しい言い方するんじゃねぇよ! 庶民には解り易くがんもどきっていってればいいんだよ!」 「えっ、がんもどき?!」 蒼さんの思わぬ助け舟でひりゅうずなるものががんもどきのことだと知った。
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