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「アーサー王の物語の中に、マーリンは確かに存在していた。だが、彼は決して正体を知られてはならなかった。錬金術をもってして、姿を変える事が出来たから‥‥。」
「姿を変えられる人物‥‥これって、まさしく‥‥。」
「ああ、“dead-lion(デッド=ライオン)”と呼ばれる組織を支配する影の人物の事だろうな‥‥。」
忍と晃。
2人の前に、キーワードとなる重要な言葉は全て出揃った。
田中僚のパスワードは「オリオン」。
残すは、花木田南緒人と、データを共有していた医師、そしてもう一人の女性の存在だ。
「俺の思う所、手記とも取れる、あの物語の中に描かれていた女性‥‥皆に女神と呼ばれていた女性の名は、事実“イゾルデ”という名前に違いないと思う。実際、イゾルデという名の女神も存在する事だしな。」
そんな言葉を耳にしながらも、既に忍の指先は、点滅していた、あるデータベースへ侵入する為のアクセスコードへと動いていた。
「晃さん。間違いなく、これがある場所へ繋がる為のパスワードだ。イゾルデと呼ばれた女性‥‥女神に関する、その後の詳細が書き込まれているみたいだ。」
波乱に満ちた彼女の運命が再び動き出した時、全ての因縁が大きな余波となって、現世に埋もれていた様々な人物の隠された真実の姿をも白日の下へとさらしてゆく。
何が始まりで、一体何がそうさせたのか‥‥。
最後まで、愛する人と共に生きる事の叶わなかった悲しき女王イゾルデ。
加速する物語は、もう一人のイゾルデの姿を、この現代へと鮮明に蘇えらせていった。
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