君と僕との距離

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君と僕との距離

打ち上げ花火が上がる頃には、 君と僕との心の距離も 縮めることができるだろうか。 ずっと友達のふりしてた、 臆病者の僕。 クラスではそこそこ仲はいいけど、 君にとっては ただの友達の一人なのかもしれない。 そんな関係を変えたくて、 手汗をかきながら電話した夜。 OKを貰って、 嬉しくてなかなか寝付けなかった。 今、隣にいる君の目に、 僕はどんな風に映っているだろう。 お小遣いが少ないからと、 半分こにしたかき氷。 舌の色が真っ赤に染まって 二人で笑いあった、祭の夜。 君がクラスメイトの姿を見つけて、 冷やかされるのが嫌だと 二人して物陰に隠れた。 堂々と出来ないのは、 君と僕との距離が曖昧だからだ。 あ、そろそろ花火が上がるよーー 君の声にハッとする。 友達から一歩前に進むには、 きっと今しかない。 浴衣姿の君の目に、夜空の花が瞬く。 「あのさ。 今野って今、好きな人、いる?」 僕の問いに君の目が大きく開かれて、 その瞳の奥に僕の姿を映す。 戸惑いと驚き、 両方の色が混ざりあった目で 僕を見つめる君。 ただの友達ーー その一線を越える瞬間が、きた。 息を思いっきり吸い、 勢いよく頭を下げる僕。 君の前に差し出した手が震える。 「もし、もしいないなら……。 僕と、付き合ってください! ずっと前から、好きでした……!」
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