05.call my name

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玄関のドアノブを回す。 錆びた音を追いかけるように、喘ぎ声が大きく耳に届く。 僕は、無言でドアを力一杯閉める。 ドン! 大きな音が響き、奥の行為が一瞬止まった。 「真央か? お前も早くこっちに来い!」 苛立ちと昂揚が綯交(ないま)ぜになった毒の言葉を、僕に向ける。 「さっさと来い。さっきのことは大目に見てやる」 「うるさい!」 僕は、薄暗いままの部屋で声を張った。 「出て行けよ! あんたのせいで、僕やママがどれだけ苦労したか分かってんの?」 「何? 生意気な口を利きやがって。誰のおかげで」 「少なくともこの3年間、あんたのお陰で飯を食って来た訳じゃないよ! ママは、何で別れないの? 僕とこの男、どっちが大切なの?」 ママは無言のままだった。 都合が悪いとだんまりを決め込む、彼女の常套手段。
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